0は全ての数の倍数である横顔
命題:
公倍数は最小公倍数の倍数である.
の証明
, を の公倍数, を で割った余りを とする.即ち,商を とするとき
\begin{align*}
d=qc+r\ ,\quad 0\leq r\lt c
\end{align*}
であり,これより
\begin{align*}
r=d-q c\ ,\quad 0\leq r \lt c\ .
\end{align*}
ここで と は の公倍数であるから,上式の右辺 は の倍数である.もし ,即ち ならば は の公倍数で より小さい正数となるが,これは が の最小公倍数であることに反する.従って .ゆえに
\begin{align*}
0&=d-qc\tag{1}\\
\therefore d&=qc
\end{align*}
となり, は の倍数である.
背理法による証明であるが、一瞬 ん? となる。というのは(1)までで を倍数だと示しておいてその(1)でその左辺を にしてしまうところである。この証明はある初等整数論の証明を自分なりに書いたものであるが、 が全ての数の倍数であることの断りや説明が無いので ん? となる。結局(1)では も の倍数であるからこの式は普通に成立する.
これはG先生の動画で(確か無限等比級数の収束の話題だったかな)左辺で文字の範囲が制約された上で右辺を得るのだが、右辺を見たときにその右辺の文字は左辺での制約を超えて成立してしまうという話から思い起こした。